コスタリカから、今だけの小さな物語

ダスキンあいのわ基金障害者リーダー育成海外研修派遣事業 第38期派遣生 コスタリカ留学中の全盲女子大生です!

トイレの話

 もーーーね、絶対に、何があっても、この国のトイレに紙を流してはいけないのです。

 

 コスタリカのトイレは水があまり強く流れないから、トイレットペーパーを流すと詰まってしまう。そのことを知らなかった訳ではないのに、いつのまにか頭の隅に追いやられてしまっていた。何も考えずに紙を流していたら、ある日シェアハウスのグループチャットに恐ろしいメッセージが流れた。

 

 1階のトイレ、紙がいっぱい詰まってます!!自分だと思う人は掃除して!!

 

 そこからはもう悪夢。ビニール袋を手にはめて、半泣きになりながら、大好きなお笑いの動画を大音量で流してがんばった。だけどようやく紙を取り除いたと思ったら、何かの加減で水が流れなくて、便座からあふれ出した水が洗面所から廊下まで広がった。必死になって掃除して、自分のと人のとタオルを2枚ダメにして、それでも足りなくて翌日ハウスメイトのお母さんに掃除に来てもらった。

 

 もう、私はこの家から追い出されてもおかしくないようなことをしているわけで。「日本ではどうか分からないけど、ここのトイレはそんなに良くできていないのよ」と言って、怒りもせずに掃除を手伝ってくれたハウスメイトに、ただただ感謝。

 

 今思い返しても本当にぞっとする、こんなことがあったのに、私は未だに無意識に紙を捨ててしまう。紙が手を離れた瞬間に、気づいてあっと叫ぶけどもう遅い。人が自分の習慣から離れるのがどんなに難しいかという話だ。

 

 でもこのおかげで、いろんなことを考えた。トイレの水を流すレバーを押したときには、私たちはもうトイレの外の世界のことを考えているけど、流された紙はどうなるんだろう。誰が処理してくれてるんだろう。私は極普通に使っているつもりでも、ハウスメイトたちより紙の減りが速いのはなんでだろう。

 

 こんなこと、もう一度は嫌だけど、1回は経験できてよかったのかもしれない・・・。